オフィスやご家庭でたまってしまった古いバインダーの捨て方にお困りではありませんか。
一見すると簡単そうですが、プラスチックの表紙と金属の金具が組み合わさっているため、どう分別すればよいか迷う方は少なくありません。特にリングファイルの頑丈な金具の外し方が分からず、そのまま放置してしまっているケースもあるでしょう。
このバインダーは金属ごみとして扱われるのか、それともゴミとして捨てられないのか、様々な疑問が浮かびます。ルーズリーフのバインダーなど、種類によっても処分方法が異なるため、正しい知識がないまま捨ててしまうと、回収されずに失敗や後悔につながる可能性もあります。
この記事では、そんなバインダーの捨て方に関するあらゆる疑問を解消します。
この記事のポイント
- バインダーの基本的な分別ルールがわかる
- 金具の有無による捨て方の違いを理解できる
- 種類別のバインダーの正しい処分方法がわかる
- 工具を使った金具の簡単な外し方がわかる
バインダーの捨て方と分別ルール

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オフィスやご家庭で役目を終えたバインダー、その捨て方に迷った経験はありませんか。
一見すると単純な文房具ですが、実際には紙の表紙、ポリプロピレン(PP)製の本体、そして金属製の留め具といったように、複数の素材が組み合わさってできています。この複雑な構造が、「一体何ゴミとして処分すれば良いのか?」という疑問を生む大きな原因です。
特に、簡単には取り外せない頑丈なリベットで固定された金具の扱いは、多くの方が頭を悩ませるポイントでしょう。実は、バインダーの正しい処分方法は、お住まいの自治体が定めるルールによって大きく異なります。
例えば、金具が付いたままでも「可燃ごみ」として扱われる地域もあれば、本体と金具を分別し、それぞれ「可燃ごみ」と「不燃ごみ(または金属ごみ)」として出すよう求められる地域もあります。
さらに、一部の自治体では「素材の9割以上が可燃性であれば、全体を可燃ごみとして出してよい」とする、通称「9割ルール」が採用されており、これも知っておきたい重要な知識です。
前半では、こうした基本的な分別の考え方を整理し、バインダーが一般的にどのゴミに分類されるのか、分別に迷った際の判断基準、そして処分の鍵を握る「9割ルール」について詳しく解説していきます。まずは基本を理解し、適切な処分の第一歩を踏み出しましょう。
- バインダーはゴミとして捨てられますか?
- バインダーは金属ごみですか?
- バインダーの捨て方は金具の有無で決まる
- 知っておきたい自治体の「9割ルール」
この章のポイント
バインダーを捨てる際の最も基本的な考え方と、分別を左右する重要ルールについて解説します。まずはここを理解することが、スムーズな処分の第一歩です。
バインダーはゴミとして捨てられる?

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ご家庭や学校などで不要になったバインダーは、決められたルールに従うことで、問題なくゴミとして捨てることが可能です。たまってしまった古いバインダーを、いつまでも机の隅や棚に溜め込んでおく必要はありません。
ただし、処分する際には「正しい分別」という条件が伴います。なぜなら、バインダーの多くは単一の素材ではなく、紙の表紙・プラスチックの本体・金属のとじ具といった「複合素材製品」だからです。これらの素材をきちんと分けることは、資源の有効活用や環境負荷の低減につながるため、多くの自治体で分別が義務付けられています。
そのため、まずはお手元のバインダーが主に何でできているかを確認し、お住まいの自治体が定める分別方法に従うことが、適切な処分の第一歩となります。

素材によって変わる基本的な分別方法
バインダーの捨て方は、その主たる素材によって大きく異なります。代表的な例は以下の通りです。
- 紙製のバインダー:基本的には「可燃ごみ」として処分できます。ただし、表面にビニールコーティングや光沢のあるラミネート加工が施されているものは、古紙としてリサイクルできない場合があるため注意が必要です。
- プラスチック製のバインダー:自治体によって扱いが大きく分かれます。「可燃ごみ」や「不燃ごみ」に分類される地域もあれば、「プラスチック資源」として回収する地域もあります。
- 金属の金具付きバインダー:最も注意が必要なタイプです。金具を分別できるかどうかで捨て方が変わるため、後の見出しで詳しく解説します。
このように、素材ごとのルールを把握することが重要ですが、最終的な判断は必ず自治体の指示に従ってください。
注意:オフィスや店舗のゴミは「事業ごみ」です
ここで解説しているのは、あくまで家庭から出るごみ(家庭系一般廃棄物)の場合です。
会社、店舗、事務所など、事業活動に伴って出たバインダーは「事業系一般廃棄物」に分類されます。これは廃棄物処理法によって定められており、家庭ごみの収集ステーションに出すことは法律で禁じられています。
事業ごみを誤って家庭ごみとして出した場合、回収されないだけでなく、不法投棄と見なされるリスクもあります。事業所で出たバインダーを処分する際は、必ず自治体の担当部署に問い合わせるか、自治体から許可を受けた専門の廃棄物収集運搬業者に回収を依頼してください。
バインダーは金属ごみ?

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バインダーには金属の留め具が使われているため、このような疑問を持つのは自然なことです。しかし、結論から言うと、バインダーを丸ごと「金属ごみ」として捨てることは基本的にありません。
その理由は、多くの自治体で「金属ごみ」や「小さな金属類」として回収されるものが、フライパンや鍋、やかんのように、製品の大部分が金属でできているものを指すからです。
一方で、バインダーはあくまで本体の主材料が紙やプラスチックであり、金属は一部分品に過ぎない「複合素材製品」と見なされます。そのため、金属が含まれていても、製品全体が金属ごみとして扱われることはないのです。

では、どのように分別すればよいのでしょうか。ここでの大きな分岐点は、金属の留め具(とじ具)を本体から取り外せるかどうかによって決まります。
ケース1:金具が取り外せる場合
もし、工具などを使って金具を本体から完全に取り外すことができたなら、分別は非常に明快です。それぞれのパーツを素材ごとに分けて、適切な日に捨てることが可能になります。
【分別例】
- 取り外した金属製の金具:自治体のルールに従い、「小さな金属類」や「不燃ごみ」として処分します。
- 残った本体部分(紙やプラスチック):素材に応じて「可燃ごみ」や「プラスチックごみ」として処分します。
このように、分解さえできれば、それぞれの素材を資源として正しくリサイクル、あるいは適正に処理するルートに乗せることができます。
ケース2:金具がどうしても取り外せない場合
問題は、リベットなどで頑丈に固定されていて、金具がどうしても取り外せない場合です。この場合の扱いは、お住まいの自治体の清掃工場(ごみ処理施設)の性能や方針によって大きく異なります。
例えば、高性能な焼却施設を持つ自治体では、少量の金属が付着していても高温で燃やし、焼却後の灰から金属を磁力で回収する仕組みが整っています。このような地域では、金具が付いたままでも可燃ごみとして出してよい、とされることが多いです(これが「9割ルール」の背景にもなっています)。
一方で、そうした設備がない、あるいは焼却炉への負担を避けるために、少しでも金属が含まれるものは燃やせないと判断している自治体もあります。その場合は、不燃ごみとして全体を捨てるよう指示されることになるでしょう。
自己判断は禁物!必ず自治体のルールを確認
金具が外せないバインダーを自己判断で可燃ごみに出してしまうと、自治体の方針によっては処理施設に負担をかける原因となり得ます。処分の際は、必ず自治体のホームページやごみ出しアプリ、パンフレットなどで「金具の付いたファイル」の項目を確認するか、直接問い合わせるようにしてください。
捨て方は金具の有無で決まる

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前述の通り、バインダーの分別方法を考える上で、最も重要な分岐点となるのが「金属製の金具」の存在です。このポイントを最初に確認することで、その後の手順が明確になり、迷うことなく処分を進めることができます。
ここでは、金具がない場合と金具がある場合の2つのパターンに分けて、それぞれどのように考え、対処すればよいかを具体的に見ていきましょう。
ケース1:金具が付いていないバインダーの場合
まず、表紙からとじ具に至るまで、すべてが単一の素材(オール紙製やオールプラスチック製)でできているバインダーの場合、分別は非常にシンプルです。
例えば、環境に配慮して作られた紙製のファイルや、とじ具部分もプラスチックでできている製品などがこれに該当します。この場合は、複数の素材を分解する必要がないため、製品全体の素材に合わせた分別ルールに従うだけで済みます。
- オール紙製:「可燃ごみ」として処分します。
- オールプラスチック製:自治体のルールに従い、「可燃ごみ」や「プラスチック資源ごみ」として処分します。
ケース2:金具が付いているバインダーの場合
一方で、市場に出回っている多くのバインダーはこちらのタイプでしょう。この場合、日本のリサイクルの基本原則である「素材ごとに分別する」という考え方に立ち返る必要があります。
① 取り外しが可能な場合
これが最も理想的な分別方法です。後の見出しで解説する工具などを使って金具を本体から取り外すことができれば、それぞれの部品を正しいカテゴリーで処分できます。
- 本体(紙やプラスチック):素材に応じた分別区分へ
- 金具(金属):「不燃ごみ」や「小さな金属類」へ
② 取り外しが困難な場合
リベットで固く固定されているなど、どうしても金具が外せない場合も少なくありません。このような状況で頼りになるのが、次の項目で詳しく解説する「9割ルール」という考え方です。分解を諦める前に、このルールがお住まいの地域で適用されるかを確認するステップへと進みます。

注意ポイント
金具の取り外し作業は、決して無理をしないでください
バインダーの金具は、大切な書類を長期間しっかりと保持できるよう、意図的に頑丈に作られています。そのため、分解には相応の力や工具が必要になることが多く、無理に作業を行うと、金具で手を切ったり、部品が飛んで目に入ったりするなどの思わぬ怪我につながる恐れがあります。
少し試してみて「これは固くて危険だ」と感じた場合は、すぐに作業を中断しましょう。安全を最優先し、金具が付いたままの状態で捨てる方法を検討することが賢明な判断です。
知っておきたい自治体の「9割ルール」

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前述の通り、金具がどうしても取り外せないバインダーの処分に直面した際に、知っておくと非常に役立つのが、一部の自治体で採用されている「9割ルール」という考え方です。これは、分別の手間を大きく軽減してくれる可能性のある、重要な知識といえます。
「9割ルール」とは具体的にどのようなルール?
このルールを簡単に説明すると、以下のようになります。
製品を構成している素材の大部分(おおむね9割以上)が燃える素材でできている場合、釘やネジ、留め具といった小さな金属などが付いていても、分解せずに全体を「可燃ごみ」として捨ててよい、というものです。
多くのバインダーは本体の大部分が紙やプラスチックでできており、金属部分は重量・体積ともにわずかです。そのため、このルールが適用される地域にお住まいであれば、分解に苦労することなく、そのまま可燃ごみとして処分できる道が開けます。
このルールは、ゴミ清掃員としても活動されているお笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんの発信などにより広く知られるようになり、分別に悩む多くの人々の助けとなっています。
なぜこのようなルールが存在するのか
「金属は燃えないのに、なぜ可燃ごみに出せるの?」と不思議に思うかもしれません。このルールが成り立つ背景には、主に2つの理由があります。
- 住民の負担軽減:リベットのように、一般家庭にある工具では分解が極めて困難な製品も少なくありません。分別を厳格にしすぎると住民の負担が過大になるため、現実的な落としどころとして設けられています。
- ごみ処理技術の進化:近年の高性能な清掃工場(ごみ焼却施設)では、ごみを高温で焼却した後、残った灰の中から磁石(磁力選別機)を使って金属類を回収する仕組みが導入されています。そのため、少量の金属が混入していても、後工程でリサイクルルートに乗せることが可能なのです。

バインダー以外の「9割ルール」適用例
この考え方は、バインダー以外にも様々な製品に応用できます。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 木製ハンガーに付いている金属製のフック
- ホチキスで数カ所綴じられたままの書類の束
- クッションやカバンに付いている金属製のファスナー
- メモ帳のリング部分(小さな金属製のもの)
最重要:9割ルールは全国共通ではありません
ここまで解説してきた9割ルールは、非常に便利な考え方ですが、すべての自治体で採用されているわけではないという点を、強く認識しておく必要があります。
「金属が少しでも付いていれば不燃ごみ」と厳密に定めている自治体もあれば、ルールの定義が「9割」ではなく「8割」であったり、金属部品の大きさに制限があったりと、その内容は千差万別です。自己判断で捨ててしまうと、収集されずに残されたり、処理施設に予期せぬ負担をかけたりする原因になります。
処分する前には、必ずお住まいの自治体のホームページや、配布されているごみ分別パンフレット、公式アプリなどで確認してください。検索する際は「(お住まいの市町村名) ファイル 捨て方」や「(市町村名) 混合素材 ごみ」といったキーワードで調べると、該当する情報が見つかりやすいでしょう。
種類別のバインダーの捨て方と金具の外し方

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基本的な分別ルールを把握したら、次はお手元にあるバインダーの種類に応じた、より具体的な処分方法と、多くの方が最も困難に感じる金具の外し方について深掘りしていきます。
バインダーには、安価なプラスチック製のものから、書類を大量に保管できるリングファイル、学生にはお馴染みのルーズリーフバインダーまで、多種多様な製品が存在します。これらの処分で共通の課題となるのが、頑丈な金属製留め具の分解です。
一般的には、金具と本体の隙間にマイナスドライバーを差し込み、ハンマーで叩きながらてこの原理でこじ開ける、といった力とコツを要する方法が知られています。しかし、この作業は非常に固く、無理に行うと怪我をする危険も伴います。
そこで後半では、こうした従来型のバインダーの分解手順を丁寧に解説すると同時に、近年コクヨやキングジムなどから登場している、工具不要で簡単に分別できる最新のファイル構造についてもご紹介します。「PUSH」ボタンを押すだけでパーツが外れるなど、驚くほど簡単に分解できる製品も増えています。種類別の最適な捨て方から、安全な金具の外し方のコツまで、実践的な知識を身につけていきましょう。
- プラスチックバインダーの捨て方の注意点
- ルーズリーフバインダーの捨て方の手順
- リングファイルの捨て方を解説
- リングファイルの金具の外し方のコツ
- 工具を使った金具付きバインダーの外し方
- 最新ファイルは分別が簡単になっている
- 正しいバインダーの捨て方を総まとめ
この章のポイント
製品の種類に応じた具体的な処分方法と、処分の最大の関門である「金具の分解方法」を実践的に解説します。お手元のバインダーに合った方法が見つかります。
プラスチックバインダーの捨て方の注意点は?

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プラスチック製のバインダーは、軽くて丈夫なため広く普及していますが、その処分方法は自治体によって対応が大きく異なり、分別に最も注意を要するタイプの一つといえます。正しい捨て方を理解するためには、まずプラスチックごみの基本的な考え方を知ることが近道です。
重要ポイント:「容器包装」と「製品」の違い
日本のプラスチックごみの分別は、主に「容器包装リサイクル法」という法律に基づいており、大きく2種類に分けられます。この違いを理解することが、分別の鍵となります。
① 容器包装プラスチック
商品を入れたり包んだりしているもので、中身がなくなると不要になるプラスチックです。ペットボトル、お惣菜のトレイ、シャンプーのボトル、お菓子の袋などがこれにあたり、リサイクルを推進するための「プラマーク」が付いています。これらは「プラスチック資源ごみ」として回収されます。
② 製品プラスチック
バケツ、おもちゃ、CDケース、歯ブラシなど、そのもの自体が商品としての機能を持つプラスチック製品を指します。プラマークは付いていません。バインダーやクリアファイルは、この「製品プラスチック」に分類されます。
この「製品プラスチック」の扱いが、自治体によって「可燃ごみ」「不燃ごみ」「資源ごみ」と大きく分かれているのです。

なぜ自治体によって分別方法が違うのか?
製品プラスチックの扱いが統一されていない背景には、各自治体が保有する清掃工場(ごみ処理施設)の性能や方針の違いがあります。
- 「可燃ごみ」とする自治体:高性能な焼却炉を備え、プラスチックを燃やす際に出る熱を発電などに利用する「サーマルリサイクル」を推進している場合に多いです。
- 「不燃ごみ」とする自治体:焼却炉の性能上、プラスチックを燃やすと有害物質が発生する、あるいは炉を傷める可能性がある場合に、埋め立て処分となる「不燃ごみ」に指定しています。
- 「資源ごみ」とする自治体:製品プラスチックも別途回収し、再びプラスチックの原料として再生する「マテリアルリサイクル」に力を入れている場合に採用されます。
では、どうやって確認すればよいか
前述の通り、お住まいの地域がどの方法を採用しているかを知ることが不可欠です。自治体のホームページやごみ分別アプリで、「製品プラスチック」の項目を探すか、品目別の索引で「バインダー」や「ファイル」を直接調べてみましょう。
自治体の例 | 製品プラスチックの主な分別(バインダーなど) |
---|---|
東京都(特別区) | 多くの区で「可燃ごみ」 |
横浜市 | 「燃やすごみ」 |
大阪市 | 「普通ごみ」 |
名古屋市 | 「可燃ごみ」 |
※上記は一般的な傾向であり、ルールが変更される場合もあります。必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
金属の金具が付いている場合は分別を忘れずに
前述の通り、たとえ本体がプラスチックであっても、金属製の金具が付いている場合は、それを取り外して分別するのが大原則です。取り外しが困難な場合は「9割ルール」の適用の可否を確認するなど、これまでの解説に沿って判断してください。
リングファイルの捨て方を解説

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ここからは、オフィスや書斎でよく利用される、リングファイルやパイプ式ファイルの捨て方に焦点を当てて解説します。これらは大量の書類をしっかりと保管できる反面、その頑丈さゆえに処分が難しいと感じる方が多い製品です。
これらのファイルの最大の特徴は、金属製の大きなとじ具が備わっている点です。処分の成否は、この金属とじ具を本体から分解できるかどうか、という一点にかかっているといっても過言ではありません。
処分の最大の壁:頑丈な金属とじ具
リングファイルやパイプ式ファイルのとじ具は、数百枚の書類の重さに耐え、頻繁な開閉にも壊れないよう、非常に頑丈に設計されています。その固定には、簡単には抜けない「リベット」と呼ばれる金属の鋲が使われていることがほとんどです。
この「使用時の耐久性」という大きなメリットが、処分時には「分解しにくい」というデメリットに変わります。そのため、素手で取り外そうと試みても、まず成功することはないでしょう。

処分のための3ステップ思考法
では、この頑丈なリングファイルを処分するには、どのような手順で考えればよいのでしょうか。以下の3ステップで進めていくのが合理的です。
step
1ファイル本体に分解方法の記載がないか確認する
まずは、ファイルの表紙の裏側などをチェックし、分解方法に関する小さなイラストや説明書きがないか探してみましょう。特に、環境に配慮したエコ製品の中には、リベットの中心にピンを差し込むための小さな穴が開いていたり、ドライバーで外せるような工夫がされていたりする場合があります。
step
2工具を使った分解に挑戦する
説明書きが見当たらない場合は、次の手段として、家庭にある工具を使った分解作業に移行します。どのような工具を使い、どういったコツがあるのかについては、この後の見出しで詳しく解説していきます。
step
3分解を諦め、自治体のルールを確認する
ステップ2の分解作業が困難、あるいは危険だと判断した場合は、無理せず作業を中断します。その上で、分解できないものとして全体を捨てる方法を検討します。具体的には、前述の「9割ルール」が適用できないか、あるいは「金具の付いたファイル」として自治体が定めている分別方法(例:不燃ごみ)がないかを確認する流れとなります。
この思考のステップに沿って進めることで、安全かつ適切にリングファイルを処分することができます。次の項目からは、ステップ2の具体的な方法を掘り下げていきましょう。
リングファイルの金具の外し方のコツは?

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リングファイルの頑丈な金具は、一見すると分解が不可能に思えるかもしれません。しかし、家庭にある身近な工具と「てこの原理」を応用することで、安全に取り外すことが可能です。力任せに挑むのではなく、道具の力を借りて効率的に作業を進めるのが最大のコツです。
ここでは、最も一般的で成功率の高い、マイナスドライバーを使った分解方法を、準備から手順、成功の秘訣まで詳しく解説していきます。
はじめに:安全な作業のための準備
作業を始める前に、まずは必要な道具を揃え、安全を確保することが何よりも重要です。以下のものを準備しましょう。
- マイナスドライバー:先端が欠けておらず、ある程度の大きさがある頑丈なもの。
- ハンマー:ドライバーを打ち込む際に使用します。なければ硬い石などでも代用できます。
- ペンチ:浮き上がったリベットを引き抜く際に役立ちます。
- 軍手:手の保護のために必ず着用してください。
- 保護メガネ:金具が飛散する可能性に備え、目を保護するために着用を推奨します。
作業は、床が傷ついてもよい屋外のコンクリートの上や、頑丈な作業台の上で行うのが理想的です。
具体的な分解手順
準備が整ったら、以下の手順に沿って慎重に作業を進めていきましょう。
- 差し込む位置を決める
まず、金具を固定しているリベット(鋲)と、バインダー本体の表紙との間に存在する、わずかな隙間を見つけます。ここがドライバーを差し込むターゲットポイントです。 - ドライバーを差し込み、打ち込む
決めた隙間にマイナスドライバーの先端を当て、ハンマーでドライバーの柄の末端を軽く数回叩きます。これにより、先端がリベットの頭の下にしっかりと食い込みます。 - てこの原理でこじ開ける
バインダー本体が動かないよう、足や手でしっかりと固定します。そして、差し込んだドライバーの柄を、てこの原理を応用してぐっと持ち上げます。「パキッ」という音と共にリベットの頭が浮き上がれば成功です。 - 残りのリベットも同様に外す
一つのリベットが外れたら、他のリベットも同様の手順で一つずつ外していきます。焦らず、確実に行うことが大切です。 - 後片付け
完全に浮き上がらなかったリベットは、ペンチを使って引き抜きます。すべての金具が外れたら、金属部品を集めて分別し、作業場所をきれいに片付けましょう。
分解を成功させるための追加のコツ
- 一点集中で攻めない:一つのリベットが固い場合、無理にこじ開けようとせず、一度他のリベットに移るのも手です。複数の箇所を少しずつ緩めていくと、結果的に外しやすくなることがあります。
- ドライバーの角度を調整する:ただ持ち上げるだけでなく、少し左右にひねるような動きを加えると、リベットが緩みやすくなる場合があります。

工具を使った金具付きバインダーの外し方

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前述の通り、リングファイルの金具を外すには、マイナスドライバーを使った方法が最も手軽で一般的です。ここでは、ご家庭にある身近な工具を組み合わせることで、より安全かつ確実に作業を進めるための具体的な手順を解説します。
ちなみに、オフィスなどで大量のファイルを処分する際には「リベットはずし機」という専用の機械が使われることもあります。しかし、これは数万円もする高価で大型の器具のため、ご家庭で数冊のバインダーを処分する目的には適していません。これからご紹介する方法で十分に対応が可能です。
王道パターン:「マイナスドライバー」と「ペンチ」の連携プレイ
最もおすすめなのが、こじ開けるための「マイナスドライバー」と、引き抜くための「ペンチ」を組み合わせる方法です。それぞれの工具の長所を活かすことで、作業の安全性が格段に向上します。
step
1ドライバーでリベットを浮かせる
前述の通り、金具を固定しているリベットと本体の隙間にマイナスドライバーを差し込み、てこの原理でリベットの頭を少し浮かせます。この段階で完全に外そうとせず、ペンチで掴めるだけの隙間を作ることを意識するのがポイントです。
step
2ペンチでリベットの頭を掴む
浮き上がったリベットの頭を、ペンチで横からしっかりと掴みます。このとき、滑らないように根本まで深く、力強く握ってください。
step
3引き抜く、または、ねじり切る
ペンチでリベットを掴んだまま、ぐっと真上に引き抜きます。もし固くて抜けない場合は、左右にねじるような動きを加えたり、少しずつ揺さぶったりすると、金属疲労でリベットが根本から折れたり、緩んで抜けやすくなったりします。
この方法のメリットは、ドライバーを無理にこじ開け続ける必要がないため、勢い余ってドライバーが滑り、手を怪我してしまうリスクを低減できる点にあります。固いリベットに対して非常に有効な手段です。
別のアプローチ:バールや釘抜きを使う方法
もしご家庭に小型のバールや、ハンマーのヘッドに付いている釘抜き部分があれば、これも強力な武器になります。特に、厚手の頑丈なファイルに対して有効です。
使い方はシンプルで、リベットの頭の隙間にバールや釘抜きの先端を引っ掛け、釘を抜くのと同じ要領で、てこの原理を使って引き抜きます。ドライバーよりも大きな力を加えられるため、より簡単にリベットを外せる場合があります。
ただし、この方法は非常に力が強いため、バインダーの本体が大きく破損したり、作業している床や机を傷つけたりする可能性があります。下に厚い板や不要な雑誌を敷くなど、作業場所の保護を忘れないようにしましょう。

最新ファイルは分別が簡単!

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これまで解説してきたような、工具を使った金具の分解作業。「面倒だ」「大変だ」と感じた方も少なくないでしょう。しかし、嬉しいことに、近年のファイル製品は、こうした処分の手間が嘘のように簡単になるよう、様々な工夫が凝らされています。
これは、単なる製品改良というだけでなく、環境問題への意識の高まりや、私たちのライフスタイルの変化を反映した、必然的な進化ともいえます。
なぜファイルは「分別しやすく」進化したのか
この変化の背景には、主に2つの大きな流れがあります。
- <企業の環境配慮(CSR・SDGs)への取り組み
持続可能な社会を目指す動きが世界的に広がる中、企業にとって、製品が環境に与える影響を考慮することは、今や重要な社会的責任の一つです。製品のライフサイクル全体、つまり「製造」から「使用」、そして「廃棄」に至るまでを設計に盛り込む中で、分別・リサイクルしやすい製品開発が活発化しました。 - 消費者のニーズの変化
私たち消費者側にも、「どうせ買うなら、環境に優しく、後々の処分が楽なものが良い」という価値観が浸透してきました。こうした声に応える形で、メーカー各社は「捨てやすさ」を製品の新たな付加価値として競い合うようになったのです。
驚くほど簡単!分別できるファイルの具体例
では、具体的にどのような製品があるのでしょうか。ここでは代表的な2大文具メーカーの例をご紹介します。
例1:キングジム「キングファイル スーパードッチ<脱・着>イージー」
この製品シリーズは、工具を一切使わずに分解できるのが最大の特徴です。とじ具の両端にある「PUSH」と書かれたボタンを押しながら引き上げると、金属製のパイプ部分が簡単に取り外せます。さらに、本体に固定されているプラスチックの台座も、従来のリベット式ではなくスライド式になっており、手で簡単に取り外すことが可能です。
コクヨの製品では、とじ具の裏側に小さな穴が開いているタイプがあります。この穴にボールペンの先などの細い棒を差し込んで押し出すことで、リベットを内側から簡単に外せるよう設計されています。力ずくでこじ開ける必要がなく、安全かつスマートに分解できるのが魅力です。
これからは「捨てる時」を考えて「選ぶ」時代へ
このように、ファイルの分別は劇的に簡単になっています。このことを知っておくと、私たちの行動も変わってきます。それは、「処分の手間」を、製品を選ぶ際の新しい判断基準に加えるということです。
もし、これからバインダーを新しく購入する機会があれば、価格やデザインだけでなく、「分別廃棄可能」「リサイクル設計」といった表記や、今回ご紹介したような製品シリーズ名に注目してみてください。
購入時に少しだけ意識を向けることで、将来の自分の手間を大きく省けるだけでなく、環境保護への貢献にもつながります。まさに一石二鳥の賢い選択といえるでしょう。

バインダーの捨て方を総まとめ
この記事で解説してきた、正しいバインダーの捨て方に関する要点を以下にまとめます。処分に迷った際は、このリストを再確認してください。
この記事のまとめ
- バインダーの捨て方はお住まいの自治体のルールが最優先
- 本体は主に紙かプラスチックでできている
- 処分の最大のポイントは金属製の金具を分別できるか
- 金具を取り外せれば本体と別々に分別する
- 金具は不燃ごみや小さな金属類として処分
- 取り外しが困難な場合は9割ルールを確認
- 9割ルールとは素材の大部分が可燃なら可燃ごみに出せるルール
- 全ての自治体が9割ルールを採用しているわけではない
- プラスチック製は可燃・不燃・資源と自治体で扱いが異なる
- ルーズリーフバインダーは中身・とじ具・表紙に分解する
- 金具はマイナスドライバーとてこの原理で外せる場合がある
- 作業時は怪我に十分注意し軍手などを着用する
- 近年は分別しやすいように設計された製品が増えている
- オフィスから出る大量のバインダーは事業系ごみとして処理する
- 最終的な判断は必ず自治体の公式サイトなどで確認する
この記事では、バインダーの正しい捨て方について、基本的な考え方から具体的な分解方法まで詳しく解説してきました。
一見すると単純な文房具ですが、その多くは紙・プラスチック・金属といった複数の素材から成り立っており、処分の際はお住まいの自治体のルールを確認し、素材ごとに正しく分別することが何よりも重要になります。
特に、処分の流れを大きく左右するのが金属製の金具の存在であり、これを取り外せるかどうかが最初の大きな分岐点となるでしょう。もしご自身で分解に挑戦される場合は、てこの原理を応用し、安全に十分配慮しながら作業を進めることが求められます。
また、どうしても外せない場合には「9割ルール」のような例外規定を確認したり、これからの購入では分別しやすいエコな製品を選んだりするなど、様々な知識と視点を持つことが適切な処分につながります。
この記事で得た知識を活かし、ご家庭で眠っているバインダーの処分を、ぜひ正しく、そして安全に進めていただければ幸いです。
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